(2008年5月2日 読売新聞)
白内障は、目のレンズである水晶体が白く濁り、視力が落ちる病気。加齢に伴うものがほとんどだが、糖尿病や外傷などで起きることもある。治療は、水晶体を透明の人工眼内レンズに入れ替える手術が主流で、年間約100万件行われている。
手術はまず、角膜に約2ミリのすき間を開け、そこから超音波を照射、水晶体を細かく砕き吸引・除去する。その後、水晶体のあった場所に直径約6ミリの眼内レンズを入れる。点眼麻酔を使うため、強い痛みはなく、手術も15〜30分で終わる。
これまでの眼内レンズは、1か所だけにピントを合わせた単焦点のものが多かった。だが、遠くにピントが合うレンズを挿入した人は、新聞を読む時に文字がぼやけるため、老眼鏡が必要になる。逆に、近くにピントが合うレンズの人は、遠くを見る時に眼鏡が必要だ。
一方、遠くも近くも見やすいのが、多焦点眼内レンズだ。従来の製品は、夜の街灯や車のライトをまぶしく感じる欠点があったが、厚生労働省が昨年5〜6月に承認した2種類のレンズでは、そうした欠点も改善されたという。多焦点レンズは、形状によって屈折型と回折型に分かれる。承認された2種類のうち、スイスのメーカーが作った「レストア」は回折型で、30センチ先と2〜5メートル先の遠近2か所にピントが合うため、読書や車の運転をよくする人に適している。米国製の「リズーム」は屈折型で、40センチ〜1メートル先の中間領域にピントが合いやすく、パソコン作業の多い人向きだ。
同病院眼科教授のビッセン宮島弘子さんらが、白内障の68人(136眼)に「レストア」を挿入したところ、88%が遠方視力0・7以上、近方視力も全例が0・4以上に回復した。
ただ、正常な水晶体と異なり、すべての距離でピントが合うわけではない。さらに角膜や網膜に病気のある場合、視力の回復は必ずしも十分ではなく、くっきり感(コントラスト)がやや低下する。ビッセン宮島さんは「こうした点を理解して、手術を受けるかどうか判断してほしい」と話す。
3000人に1人の頻度で、眼内炎で充血などが起き、治療が必要になるとの報告もある。
製品の本格発売は今年に入ってからで、症例数の多い医療機関はまだ少ない。保険がきかないため自費診療となり、両眼で90万〜120万円かかる。
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